ブラック・ミラー 1-2【1500万メリット】のネタバレと感想

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Black Mirror

1話完結のSFオムニバス作品のブラックミラー。前回の「国家」に引き続き2話目です。

今話の「1500万メリット」は1話とはまた全く違う雰囲気になっています。

以下、ネタバレとなりますのでご注意を。



ブラック・ミラー シーズン1 2話「1500万メリット」

黒人男性のビングは、今日も画面の中のニワトリの声で目を覚ます。部屋は全面液晶で囲われており、ドアも電気もすべて自動。手を少しひねれば、歯磨き粉でさえ自動で出てくるような世界。

 彼は今日も仕事に向かう。この世界の仕事とは、まるでフィットネスバイクのようなマシンに乗ってペダルを漕ぎ、電力を発電することだ。

 目の前には大きなモニターがあり、好きな番組を視聴できる。そして画面の端には自身が所持する仮想通貨の額が表示されており、ペダルを漕ぐ毎に金額が増えていく。

ビングの周りではアダルト動画を見ながらペダルを漕ぐ者や、自身の分身であるアバターを着飾る者、そして密かにビングに想いを寄せる者もいた。

 飲み物や食べ物はすべて自動販売機。画面のリンゴを押すと、自販機の下から袋に包まれたリンゴが出てくる。

そして肥満などで仕事ができなくなった者は下の階層に移され、”レモン”という差別用語で呼ばれながら雑用をして働く。

 仕事を終えたビングは、自身の部屋に戻りクオリティの低いアクションゲームをして時間を潰す。そして生活の合間にはまるで無料の動画サイトの如く突如広告が流れ、スキップをするにも仮想通貨が消費される。

 そうして1日が終わり、朝になればまたモニターの向こうのニワトリの声で目が覚める。

 
 

ビングがいつものように仕事場へ向かうと、見慣れない美しい女性がいることに気付く。

 

 

 
 

 
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その日ビングがトイレへ行くと、綺麗な歌声が聴こえてくる。トイレから出てきたのは、朝見た女性だった。

 勇気を出して話しかけるビング。彼女の名前はアビゲイルといい、先週21歳になったばかりだという。

 ビングはアビの歌声はベタ褒めし、オーディション番組への出場を勧める。しかしオーディションに出場するには1200万メリットを払わなければならない。

 到底払えないと失望するアビだが、ビングが肩代わりすると申し出る。

 実はビングは亡くなった兄から受け継いだ多額のメリットを持っているのだ。

 「自分で使わないの?」

 例えば部屋のアップグレードをしたり、同居人を買うのは?とアビ。そんなの虚しいだけだとビングは答えた。

君の歌は本物だ。払う価値がある

 ビングの熱意に負け、アビはオーディションへの出場を決意する。

その夜、ビングはオーディション番組”ホットショット”への出場券を買おうとするが、1200万メリットだと思っていた出場券は、なんと1500万メリットもする。

 一瞬躊躇うビングだったが、チケットを購入し、ギフト機能でアビの元へ送った。

 

 

 
 

 
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 翌日、ビングとアビは2人でオーディションへ向かう。エレベーターの中で、アビはビングに紙を折って作ったかわいらしいペンギンを渡す。

ビングがそっとアビの手に触れると、アビもその手を握り返した。

 控室は多くの出場者でごった返していた。呼ばれる順番は審査員の支持通りで、目に留まればすぐに呼ばれる場合もあるが、中には1週間待っても呼ばれない者もいる。

 アビはすぐに呼ばれ、軽く意気込みを撮られた後、緊張で吐かないようにと”カップアライアンス”なる飲み物を飲まされる。

ついにステージに立つアビ。3人の審査員と、大勢の観衆(アバター)たちがアビを出迎えた。

「何をするの?」という審査員の質問に、アビは「歌います」と答える。

「それより服脱いでオッパイ見せろよ」

と審査員のひとりが言う。

オッパイ連呼する男性審査員を女性審査員が制し、アビを歌わせる。アビはビングに褒められたあの歌を美しい声で歌った。

 

 

 
 

 
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 歌い終えたアビに、先程とは別の審査員が言う。

「今のは間違いなく、今シーズン最高の歌声だ」

湧き上がる観衆たち。ビングとアビも思わず笑顔になる。

 「だが、俺もレイスの意見に賛成だ。君の歌が良いが、ルックスが邪魔をする。君が舞台に立てば、男は欲しがり、女は妬む。男は君のいやらしい姿を想像する。レイスの番組にぴったりだ」

「男なら誰でも見るはずだ」

「女も見るかもね」

審査員たちは揃ってアビをアダルト番組のスターにしようとまくし立てる。ビングはステージの袖から「やめろ!」と叫ぶが、警備員に強制退場させられてしまう。

 ぽつんとステージに佇むアビに、審査員たちが更に追い打ちをかける。

一生マシンを漕がずに済む

いい薬があるから楽しんでやれる

 それでも渋るアビを見てだんだん審査員たちはイラつき始め、半ば脅しのように厳しい言葉を投げかける。群衆たちの”やれ!やれ!”コールに圧倒され、アビはついに承諾してしまう

 
 

 ビング今日も液晶だらけの部屋で目覚め、仕事へ行く。ビングの隣の男はアダルト番組を見ながらマシンを漕いでいる。

画面に映っていたのは、まるで別人のようなアビの姿。マシンから離れても、ビングの頭の中では番組の中のアビの声が消えない。

 部屋へ戻り、まるで死んだ魚のような目でクソみたいなゲームをして時間を潰すビング。そこへ例のアダルト番組の広告が流れるが、メリットを使い果たしてしまったビングは広告のスキップもできない。

 画面に現れたのはもちろんアビ。ビングは目を塞ぐが、目を塞いでいる間は広告も止まってしまう。

ビングはついに発狂し、ガラスの壁に泣きながら体を打ち付けた。ガラスの破片を拾い上げ、体を傷つけようとするビング。

 しかし、あの日アビがオーディションの前に飲まされた”カップアライアンス”が目に入った時、ビングの中で何かが動き始めた。

 
 

次の日からビングは誰よりも早く起きて仕事に励み、広告は飛ばさず歯磨き粉も節約。食べ物は買わず人の食べ残しを漁った。

そして仕事の後はダンスの練習に励んだ。

こうして15万メリットを貯め直したビングは、あの日と同じように”ホットショット”のチケットを買った。

控え室で順番を待つビング。程なくして呼ばれ、アビの時と同様に謎ドリンク”コンプアライアンス”を勧められるが、ビングは飲まなかった。

アビの時と同じ3人の審査員の前で、ビングは練習していたダンスを披露する。そして踊りながら服の中に隠していたガラスの破片を手にし、「近づいたら首を指して死ぬぞ」と自分の喉元に突きつけた。

 

 

 
 

 
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一瞬にして静まり返る会場。ビングは審査員と群衆に向かって語り始める。

本気で話を聞かせるためにはここに立つしかなかった

お前達はここに立つ俺らを選別する。生きた人間ではなく消耗品として見てるんだ

お前達が選ぶのは偽物だけ。俺達には偽物しか与えられない

だが本物の痛みもある。お前達はデブを見下して笑う。見下す権利があると思っている

俺がやっと見つけた本物をよくも奪いやがったな

クソ野郎共、くたばれ!

語り終えたビングに、男性審査員が告げる。

「今のは、間違い無く…

今までの出場者の中で1番心に響いた。番組史上最高だ!!

湧き上がる群衆たち。そして極めつけの一言。

「君には人に伝える力がある。また話が聞きたい。僕のチャンネルで番組を持て

他の審査員も賛同し、周りはアビの時のように”やれ!やれ!”コールで囃し立てた。

そしてビングの決断は--

 
 

無意味なライトを照らすため、今日も多くの人間がモニターに夢中になりながらマシンを漕ぐ。モニターの1つには、ガラスの破片を首元に近づけたビングの姿が。

「お別れの時間だ…!

それじゃあまた来週~」

収録を終えたビングが商売道具であるガラス片を大事にケースにしまうシーンで、この物語は終わりを迎える。

 
 

この「1500万メリット」というストーリー、すごく惹き込まれる出だしで夢中になって見てたんだけど、ビングの「また来週~」を見た途端、残念というか、何とも物悲しい気持ちになりました。

悪循環というのは正にこのこと。ビングも結局あの空気と、「もう漕がなくて済む」という誘惑に負けてしまった。

あんなに努力してたっていうのに。

まあ、世の中なんてそんなもんだけど。

「本物が偽物に変えられていく」って、現代社会でもよくあるよね。政治然り、身近なところだと会社かな。

恋した女の子のため手にしたガラスの破片は、もはやアバターのアクセサリーのひとつと成り果ててしまったわけです。

途中、アビにもらった折り紙のペンギン。ラストのビングの部屋にはもっと本物に近い見た目のペンギンの置物が置いてあるんだけど、この物語でいう「本物」とは折り紙のペンギンの方だよね。

この物語は設定だけでも単純に面白いんです。部屋の壁全体が画面になっていて、窓がない変わりに朝や夜の風景が画面に映し出される。

動作だけで勝手に歯磨き粉が出てきて、イヤーチップみたいなのを耳に入れて音楽を聴いたり。見てる分には面白い!と思えるけど、実際こんなになっちまったら恐ろしい。

自分らは揃ってボロいジャージみたいの着てて、アバターの中の服でオシャレするんて悲しいじゃないですか。もはや容姿の意味もなくなるのかな?

私の目には今作の、くだらないテレビ番組や存在しないアバターに夢中になり、与えられたものだけしか楽しめない人達の姿が気持ち悪く写ったんだけど、もしかしたらそう遠くない未来、こんな世界になってしまうのかもね。

今作は第1話の「国家」とはまったく雰囲気の違う今作だったけれども「傍観する人間に対する批判」を感じたのは唯一の共通点かな。この作品ではアバターの観衆たちが、ビングの精一杯の叫びさえパフォーマンスとばかりに楽しみ、無責任に野次る。

怖いのは、彼らに悪意がないということ。彼らはあくまでパフォーマンスを楽しんでいるだけだから、1人の人間を不幸に貶めた実感などない。

「悪意の麻痺」って言葉、正にそのもの。

それから、最後に一言言わせて。アビがオーディションで歌うあの曲、このブラックミラーという作品ではこれからも繰り返し登場するんだけど、前奏の「エニワンッ!」っていうの、すごく耳に残るよね。



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