1話完結のSFオムニバス作品「ブラックミラー」。シーズン5最終話は、あのマイリー・サイラスが演じるポップアイドルのお話です。
以下、ネタバレになりますのでご注意ください。
ブラック・ミラー 5-3【アシュリー・トゥー】
アシュリー・オー
父とバンド好きの姉と共に新しい土地へと引っ越してきた、内気な性格のレイチェル。新しい学校になじめないレイチェルの唯一の心の支えは、人気アイドルの「アシュリー・オー」だった。
ある日アシュリーの出演番組で、彼女の性格を再現したAIロボット「アシュリー・トゥー」の発売を知ったレイチェルは、誕生日プレゼントとして父親にアシュリー・トゥーをねだる。
望み通り誕生日にアシュリー・トゥーを手に入れたレイチェルは大喜び。まるで人間のように会話したり、一緒に歌ったり踊ったりできるアシュリー・トゥーに、レイチェルはどんどんのめり込んでいく。
レイチェルはアシュリー・トゥーに今度学校のコンテストがあると話す。「絶対出るべきよ!自分を信じれば何だってできるわ!」というアシュリーの言葉に後押しされ、レイチェルはコンテストに出場することに。
コンテスト当日、レイチェルはアシュリーと同じピンクのウィッグを被ってばっちりメイクをし、いざコンテストへ。姉のジャックに見守られながらステージに立つレイチェルだが、パフォーマンスは大失敗し、ステージから逃げだす。
アシュリーがレイチェルにとって悪影響だと判断したジャックは、レイチェルが学校に行っている間アシュリーを屋根裏部屋に隠し、2人は大喧嘩になのだった。
人気アイドルの苦悩
一方、レイチェルを含む多くのファンに支持されているアシュリーは、自分の本当に目指す音楽との方向性の互いに苦しんでいた。アシュリーの家族はマネージャーでもある叔母のキャサリンだけだが、キャサリンはアシュリーの本心に気づきながらも金のため今の路線を続けさせる。
キャサリンはアシュリーをコントロールするため薬を飲ませようとするが、アシュリーは薬を裏で吐き出し、荒んだ胸の内を日記に明かしていた。
ある日キャサリンがアシュリーの好きなジャンクフードを買ってくる。アシュリーが腹を割って胸の内を告白すると、キャサリンはアシュリーの日記と吐き出した薬を集めた缶を見せ、アシュリーが自分との契約を解消しようとしていることに言及する。
「あの薬は違法よ!」と契約は無効だと主張するアシュリー。22歳の若さで幼いアシュリーを引き取ったキャサリンは人生を諦めたと主張し、2人は激しい口論になる。
突然体の調子がおかしくなるアシュリー。キャサリンが買ってきたジャンクフードの中には薬が盛られており、アシュリーはそのまま昏睡状態に陥るのだった。
家族と過ごしていたレイチェルはテレビで”アシュリー重体“のニュースを知る。酷くショックを受けるレイチェルにジャックは隠していたアシュリー・トゥーを返すが、壊れてしまった姉妹の溝は埋まらない。
アシュリーを救え
半年の月日が経ち、ある日レイチェルがテレビを見ていると、アシュリーのドキュメンタリー番組が始まる。依然眠り続けたままのアシュリーだったが、ある装置をアシュリーの頭に装着すると、彼女の頭から音楽が聞こえてきたという。
アシュリーが眠ったままで作曲していると判明し、アシュリー・トゥーを作成した時の音声データを使用することで、彼女の音楽活動は続けられると主張して番組は終了する。
するとレイチェルの部屋で眠っていたはずのアシュリー・トゥーが勝手に起動し、暴れだして故障する。ジャックがアシュリーをパソコンに繋ぐと、アシュリーは突如悲鳴をあげ、「ケーブル抜きやがれ!」と普段とは打って変わった言葉遣いで喋りだす。
アシュリーによれば、この「アシュリー・トゥー」はアシュリーに似せたAIを作っていたのではなく、アシュリーの脳をそのままコピーして作ったものだという。ジャックの操作により普段は制限されていたたはずのリミッターが解除され、本物のアシュリーの脳とそっくりそのままになったのだ。
レイチェルとジャックはアシュリーにより、本物のアシュリーの昏睡状態が叔母のキャサリンのよるものだと知り、叔母の悪事を暴く証拠が入ったアシュリーのパソコンを盗む計画を立てる。
あまりに口の悪い小さなアシュリーに戸惑いつつも、車で本物のアシュリーの家にやってきたレイチェルとジャック。ジャックとレイチェルは父の職業でもあるネズミ駆除サービスに扮し、家の中へと侵入する。
ジャックがガードマンの目を逸らしている隙にレイチェルが2階へ上がると、本物のアシュリーが眠る姿が見える。装置をつけられ眠り続ける自分の姿にショックを受けた小さなアシュリーは、装置のコンセントを引っこ抜く。
物音に気づいたガードマンが2階へ上がると、眠っていたはずのアシュリーが起き上がり、涙を流しているのだった。アシュリーを再び眠らせようと男が注射器を手に取ったところでレイチェルとジャックが助けに入り、2人は本物のアシュリーを連れて逃げる。
アシュリーの叔母キャサリンはこの日、アシュリーに関するイベントのステージに立っていた。キャサリンの紹介により、ステージには「キャサリン・エターナル」と称されたリアルなホログラムのアシュリーの姿が映し出される。
会場がアシュリー・エターナルのライブに沸く中、突如ステージにジャックの運転する車が突っ込む!中からはアシュリー本人が登場し、ステージの真ん中で叔母のキャサリンにむかって中指を立てるのだった。
その後、アシュリーとジャックはロックバンドを結成し、レイチェルが2人のライブで盛り上がるシーンで物語は終了する。
感想
シーズン5ラストの今作は、良くも悪くもブラックミラーらしからぬ作品でした。アシュリーのパートは暗い内容ではあったものの、度々出てくるアシュリーの歌と後半のアシュリー・トゥーとの掛け合いなど作品自体の雰囲気は明るく、ラストもきちんと悪者が痛い目にあってハッピーエンドで終わります。
エンディングでいつものテロップを見るまで「これ本当にブラックミラーか?」と疑ってしまうような意外な作品でした。
私がブラックミラーを見だした時にはシーズン4までの配信だったので、私も他のファンと同様にシーズン5の配信を心待ちにしていたんだけど、その中でも何より話題になっていたのが今作「アシュリー・オー」でした。理由はもちろん主演があの「マイリー・サイラス」だから。
私もピンク髪のマイリー・サイラスの姿を見た時は「マイリーまたアイドルの役やるの!?」と驚きました。
マイリー・サイラスとは言わずもがな、あのディズニーチャンネルドラマ「ハンナ・モンタナ」で主役のハンナを演じたことで有名です。それから色んな作品に出演しプライベートではゴシップ誌を騒がせたりと色々ありつつ、最近はまた音楽の方に力を入れているのかなってイメージでした。
結果としてマイリーは非常にハマり役でした。ポップアイドルというキラキラした表の自分と、自分の本当にやりたい音楽の方向性の違いとの葛藤。
私はマイリーの曲何曲か聞いていますが、最初の頃のマイリーってやはり「ハンナ・モンタナ」のイメージを意識したようなティーン向けのポップな曲が多かった気がします。しかし最近はがらりと雰囲気が変わり、マイリーのハスキーボイスを活かした、アダルトでカッコイイ雰囲気の曲が増えた印象。
もしかしたらマイリー自身も、いつまでもつきまとう「ハンナ・モンタナ」のイメージに葛藤していたのではないかな…?と勘ぐってしまいます。もちろん真相は本人にしかわからないけど。
キャサリンはアシュリーの叔母という立場だったけど、実際若くしてスターになった子たちにはこういう悪い大人がわんさか寄ってくるんでしょうね。
本作のSF要素、アシュリーを元にしたAIロボットのアシュリー・トゥーは、ペッパーくんの進化版みたいな感じで、受け答えの幅はiPhoneのSiriよりも多く完成度が非常に高いです。見た目もかわいい。
実際はAIというより、アシュリーの脳をそのままコピーしていて出したくない部分にだけリミッターをかけていたという恐ろしい代物でしたが…。しかもリミッターかかっていなかったのはたったの4%。つまりほぼアシュリーじゃないです。
アイドル文化の日本では、もしもこんなの発売しようものなら大変なことになりそうだな〜と思いました。
全体的な感想としては、多分ブラックミラーファンには好かれない作品だろうけど私は面白かったです。ブラックミラー風物詩のエロシーンとかは一切出てこないしハッピーエンドなので、誰とでも楽しく見られる作品だと思います。
余談ですが、マイリー自身の曲も昔と今ではこれだけ変わっています。(年齢的にも当然かもしれないけど…)
こっちが昔のマイリーの曲で
こちらが最近のマイリーの曲です。
私は圧倒的に後者の方が好き。この「Nothing Breaks Like a Heart」はリアルにお気に入りソングでよく聞いています。