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ブラック・ミラー 4-1【宇宙船カリスター号】のネタバレと感想

1話完結のSFオムニバス作品「ブラックミラー」。今作は私的にブラックミラーで1番笑った作品です。

以下、ネタバレになりますのでご注意ください。

目次

ブラック・ミラー 4-1【宇宙船カリスター号】

仮想世界と現実

無限の宇宙船を漂う宇宙船カリスター号。船長のデイリーは今日も宿敵との戦いに勝ち、乗組員たちに称えられていた。

時は現代、完全没入型オンラインVRゲーム「インフィニティ」を開発する”カリスター社”。このゲームの開発者であるデイリーは、CTO(最高技術責任者)という肩書きながらも、地味な容姿とはっきりと物事を言えない性格で大勢の社員に下に見られていた。

自宅へ帰り、頭にチップを装着してゲームを立ちあげるデイリー。見慣れた宇宙船の中には、乗組員に扮した社員たちの姿が。

デイリーは自分専用のオフライン版インフィニティを作成し、自分を馬鹿にした社員たちのDNAを読み込ませてゲームに登場させ、ゲーム上で言うことを聞かせていた

新メンバー

ある日、デイリーの技術に感銘を受けたというナネットという女性社員が入社してくる。ナネットはデイリーに好意的に接するが、別の社員に「デイリーとは距離を置いた方がいい」と忠告を受け、デイリーへの態度は他の社員同様よそよそしいものに。

さらに「デイリーは仕事面で尊敬しているだけで特別な感情はない」とナネットが断言しているのを耳にしてしまう。怒ったデイリーはナネットが飲んでいた飲み物のカップを持ち帰り、DNAを自分用の「インフィニティ」に読み込ませるのだった。

ナネットが目を覚ますと、そこは宇宙船の中。見慣れた職場の面々が迎えてくれるが、彼らはナネットのことを知らない。

彼らによると、自分たちはデイリーによって作られた現実世界の自分のクローンで、もう外には出られないという。ナネットの混乱は収まらぬまま、ここの絶対的存在である”デイリー船長”がやってくる。

まるでテレビ番組のように”宇宙船ごっこ”を演じる他の仲間たち。しかしナネットは受け入れられずデイリーに反抗すると、デイリーは腕を振りかざしてナネットの顔を奪い、呼吸すらできないようにして無理やり言うことを聞かせるのだった

宇宙船を降り、惑星の探索へ同行させられるナネット。敵役とモンスターに対面し、これからバトルが始まるという時、突如玄関のチャイムのような音が鳴り、デイリーは「一時停止」の声と共に動かなくなる

途端にオフモードに戻る仲間たち。どうやら現実世界のデイリーに来客があったようだった。

デイリーが戻ると、また茶番が再開される。船へ戻ると男性乗組員はデイリー船長を讃え、女性はデイリーとキスをするが、ナネットはデイリーを突き返し顔をひっぱたいてしまう。

途端に凍りつく空気。しかし運良く見逃され、デイリーは現実世界に帰る。

オフモードになると、仲間たちからここに連れてこられた者はみな生殖器が奪われ、排泄すらもできないことを聞かされる。体の一部が奪われた事に激昂したナネットは、どうにかしてここを出ようと計画を練る。

デイリーの持っていた通信機”オムニコーダー“が唯一現実世界と繋がっていたことに目をつけ、ハッキングを試すナネット。まさかのハッキングは成功し、現実世界の誰かに1度だけメッセージを送れることに。

ナネットは現実世界の自分にメッセージを送るが…

計画

翌日、通常ならまだ仕事中の時間帯に突如デイリー船長がやってくる。現実世界のナネットがメッセージのことをデイリーに相談してしまい、計画は大失敗。

自分を欺こうとした事に怒りを露わにするデイリー船長。怒りの矛先はナネットを庇った女性乗組員に向かい、ナネットの目の前で女性はおぞましいモンスターへと姿を変えられてしまう。

しかし、ナネットは諦めなかった。宇宙の中にワームホールを発見し、そこに飛び込んで自分たちの存在を消すという。

今度は自分の恥ずかしい写真を使い、現実世界の自分を脅してデイリーの足を食い止めさせるという作戦だ。ほとんどの仲間が作戦に同意したが、現実世界で特にデイリーからの恨みを買っていたウォルトンは同意できないという。

デイリーはウォルトンが言うことを聞かなかった時、このカリスター号に彼の幼い息子を連れてきて、無情にも彼の目の前で宇宙へと放り出したという。ナネットは現実世界の自分に息子のDNAを回収させると約束をし、全員で命懸けの計画を実行することに。

デイリー船長がカリスター号にやってくると、やる気を出したナネットが、2人きりで任務に出たいと申し出る。ナネットは美しい湖を見つけると突然服を脱ぎ出して水の中へ入っていき、デイリーは困惑しながらも後を追いかける。

デイリーが手放したオムニコーダーを即座に宇宙船へ戻し、ネットに繋いでナネットの恥ずかしい写真を脅迫文と共に現実世界のナネットへ送る。そしてウォルトンが現実のナネットに電話で指示を出す。

現実世界のデイリーの元へ、ナネットが注文したピザが届きデイリーは一時停止に。デイリーが玄関先へ向かうと、その隙にナネットが冷蔵庫に保管されている全員のDNAを回収する

最後にナネットはデイリーが装着していたゲームのチップを偽物へ交換。ナネットから任務完了の連絡がくると、乗組員たちは全速力でワームホールの中へ向かう。

しかし、デイリーは予備のチップを持っており、予定より早くインフィニティの世界へ戻ってきてしまう!裏切りに気づき、シャトルでカリスター号を追いかけるデイリー。

さらに運の悪いことに、突然カリスター号のエンジンが停止していまう。エンジンを治すには、誰かが死を覚悟でエンジンルームには入るしかない。

エンジンルームへ向かうウォルトン。彼の犠牲によりエンジンは動き出し、間一髪でカリスター号はワームホールの中へ!

ワームホールを抜けた先は、デイリーのパソコンの中ではなくクラウドだった。乗組員たちは自分の体を取り戻し、化け物にされた仲間も戻ってくる

デイリーは現実世界の肉体が朽ちるまで、永遠にゲームの世界に閉じこめらたまま。ナネットが船長となったカリスター号が、無限の宇宙を旅するシーンで物語は終了する

感想

実はこれが私にとって初めてのブラックミラー作品でした。シーズン4になっているのを気づかず見てしまって見終わった後に気づいたんだけど、コミカルだった今作の後に1-1話「国家」を見たらあまりの暗さに思わず電車の中で笑ってしまいました。

インフィニティ」という完全没入型のオンラインVRゲームが舞台の今作。ナネットたち社員が入ってしまったのはデイリーのパソコンの中の、いわばデイリーver.に改造されたやつでしたが、オリジナル版は面白そう!!

もう半没入型のVRまでは現在でもあるんだから、完全没入型が作られるのは時間の問題じゃ?と期待してしまいます。できたらぜひやってみたい。

ゲームの世界楽しすぎて、現実戻ってこれなくなる人たくさんいそうですが…。

私はこの作品でとてつもなく許し難いところがあります。デイリーがゲームの世界でちゃっかりハゲ治してるところです

他の人間の顔や生殖器まで奪っておきながら、自分だけちょっと色気づいてるとか最悪です。

しかもこのデイリーがアホでアホで。

ピザが届いたようだ。一時停止!」みたいな。
途端に敵役もオフモードになってこっちの仲間と「最近どうよ?元気?」みたいな話始めたりとかね。

ナネットが突然脱ぎ出して湖の中入っていくところも、いやもう明らか罠だってわかってるでしょ昨日まで盾突いてたんだから。それが水着姿と「私の船長」って言葉でコロッと水の中入ってっちゃうんです

水かけっことかしちゃって。どんだけ女性に免疫がないねん…。

あと初見の時から思ってたけど、見た目がタレントのヒロミにしか見えない。いつからハリウッドデビューしてたの?って軽くパニックだよ。(私はこの作品を機に知ったけど、実際は有名な俳優さんでした)

ラストでエンジンルームで丸焦げの役を買ってでてくれたウォルトンは、実は現実世界でデイリーと同じCTOという立場でした。本来ならツートップのところが、デイリーはトップの座をウォルトンに独占されるような形になり、更にはウォルトンもデイリーへの態度がどんどん横柄になっていったため、デイリーのウォルトンへの恨みは他の社員よりも人一倍強かったようです。

だからって子供を目の前で殺すというのはね…。
やってること、「シロクマ」の極悪犯と変わりない。

トップなのに部下に馬鹿にされていて気の毒だなと思ったけど、しっかり悪いヤツなので同情の余地なし。見た目からして中年オタクだが、中身の闇も深すぎ。

一見ハッピーエンドのように思えるラストも、実際はナネットたちもデイリー同様、このゲームの中から一生出られることはないんですよね。明るく見えても実際バッドエンドに近いのかも。

とはいえこの作品はブラックミラーの中でも希少な声に出して笑える作品でした。SF作品「スタートレック」のパロディとも言われているので、SF映画やゲームが好きな人は特に楽しめるのではないかと思います。

ドラマの中の1話でありながらエミー賞まで取っているので、面白さはお墨付きです。

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