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ブラック・ミラー 4-6【ブラック・ミュージアム】のネタバレと感想

1話完結のSFオムニバス作品「ブラックミラー」。シーズン4最終話は、これまでの集大成とも言える作品です。

以下、ネタバレになりますのでご注意ください。

目次

ブラック・ミラー 4-6【ブラック・ミュージアム】

奇妙なミュージアム

里帰りのために車を走らせるニッシュは、車の充電時間を余らせ、ガソソリンスタンドのすぐ隣に立つ「ブラック・ミュージアム」という風変わりな博物館を見つける

館長のロロ・ヘインズという男に案内され、ニッシュは中へ足を踏み入れる。ここには犯罪に纏わるもののみが展示されているといい、ロロ・ヘインズはそれぞれの展示物のエピソードをニッシュに話して聞かせる。

ドーソン医師

彼が最初に足を止めたのは、「人の身体的な痛みを同じように感じられる」という装置。かつてサン・ジュニペロ病院内で神経の研究をしていたロロ・ヘインズは、病院で働くドーソンという医師に出会う。

新開発の装置に興味を持ったドーソンは早速頭にシステムを埋め込み、頭に装置をつけた人と同じ感覚を感じられるようになる。彼は患者に装置をつけさせ、数々の難病患者の命を救う。

しかし数々の「痛み」を体感したドーソンは次第に痛みの虜になり、自傷行為を繰り返すも満足できない。ついには道端を歩いていた人に襲いかかり、ドリルで穴を開けているところを警察に見つかるという凄惨な最後を迎えるのだった。

サルのぬいぐるみ

次にロロ・ヘインズが足を止めたのは、サルの姿をした人形の前。ある日ロロ・ヘインズが勤める病院に、生まれたばかりの子供を残して昏睡状態になってしまったキャリーという女性がやってきた。

キャリーの夫のジャックは足げく病室に通い、昏睡状態の人と意思の疎通ができる装置を試した。その姿を見たロロ・ヘインズは、最新技術によりキャリーの意識をジャックの脳の中に移すことを提案し、キャリーの熱望によりジャックは了承する。

意識の転移は無事成功し、ジャックの頭の中ではキャリーの声が聞こえ、ジャックが見たものや聞いたもの、触れたものの感触はキャリーも感じられるようになる。これで再び一緒に生活ができると喜んだ夫婦だが、近すぎる存在故に関係性は次第に悪化していく。

ロロ・ヘインズの助言により、ジャックはキャリーを一時停止させ、週末だけ息子に合わせることに。しばらくの間は上手くいっていたが、ジャックに新しい女性ができたことで、だんだんとキャリーの存在を鬱陶しく感じるようになる。

ジャックが新たな恋人と共にロロ・ヘインズの元へ相談に行くと、今度はキャリーの意識をぬいぐるみの中へ移すことを提案される。

次にキャリーが目覚めると、意識は既にぬいぐるみの中へ移されていた。話すことはでにないものの、「大好き」と「抱きしめて」という2つの言葉で意思表示をすることはできる。

息子のパーカーはしばらくの間はこのぬいぐるみを気に入っていたものの、子供の興味は永遠には続かない。誰もいない部屋で、ぬいぐるみは「抱きしめて」と喋り続けるのだった…。

ロロ・ヘインズによれば、後に人間の意識を別のものへ移すことは違法となり、削除すらもままならないため、今もキャリーの意識はこのぬいぐるみの中に入っているという。

この違法騒動で会社をクビになり、ブラック・ミュージアムを始めたと彼は語った。

永遠に続く死刑

館内の空調が故障し、喉が渇いたというロロ・ヘインズにニッシュは持っていた水を勧める。最後はこのミュージアムの中でも1番の目玉、ホログラムで映し出される囚人だ。

彼の名前は「クレイトン・リー」といい、あるお天気キャスターの女性を殺害した罪で有罪判決を下された。じきに死刑となる彼に「家族は路頭に迷わなくなる」とロロ・ヘインズが取引を持ちかけ、死刑が執行された後も彼をデータとして存続させた。

以来彼はホログラムの姿でこのミュージアムの檻の中にいるが、それだけではない。見世物として更に客を満足させるため、ロロ・ヘインズは彼の死刑執行の瞬間を再現し、客にレバーを引かせるというシステムを作ったのだ。

ミュージアムのオープン当初、客たちはみなリーの死刑執行を面白がり、レバーを引かれる度にリーは電気椅子で悲鳴を上げ続けた。苦しむリーのデータを記録した「おまけ」も好評だったという。

ニッシュ

一通りの説明を終えたロロ・ヘインズは、突如顔を真っ赤にして咳き込み始める。ニッシュは「座ったら?」と冷たく言い放ち、ある話を始める。

リーの妻はリーが冤罪だという抗議活動始め、多くの人が支持した結果このミュージアムは客足が減った。来るのはサディストや異常者だけで、金に目を眩ませたロロ・ヘインズは指定の時間以上レバーを引かせ、次第にリーの精神は崩壊していった

「この人に女性が会いに来たでしょ?」とニッシュは続ける。女性とは紛れもなく彼の妻だった。

檻の中のリーに向かい「パパ、誕生日おめでとう」と告げるニッシュ。リーの妻--ニッシュの母親は、ここで見たものに耐えきれず自ら命を経った

ニッシュは両親の復讐を誓い、着々と準備を始めていた。壊れた空調設備、水の中に仕込んだ毒。全てはニッシュによる策略だったのだ

ニッシュはロロ・ヘインズの頭に装置をつけ、彼の意識を取り出し電気椅子に座っている父親の中へと転送させた。10秒という限界値を解除し、ニッシュは思い切りレバーを引く。

苦しみ続けたリーの魂は解放され、ロロ・ヘインズの魂は小さな「おまけ」の中で永遠に電気を浴びせられる。ニッシュはおまけとキャリーのぬいぐるみを手にし、ブラック・ミュージアムを後にする。

「どうだった?」と話しかけるニッシュ。ニッシュの頭の中では母親が「自慢の娘よ」と彼女を褒め称えているのだった

ラスト、この悪趣味な博物館が炎に包まれるシーンでこの物語は終了する

感想

正に今までの集大成のような作品だった今作。完成度は高く、今までに出てきた作品のネタ(俗に言うイースターエッグ)も多く登場し、シーズン4のラストを飾るに相応しい作品だったと思います。

構成自体は”別々の2つの物語が最後に交わる”という、シーズン2最終話の「ホワイト・クリスマス」とほぼ同じ構成。でも私的にはこっちの方がラストがすっきりしました。

今回は「人の身体的感覚を感じることができる装置」と「人の意識を別のものに移せるシステム」が存在し、最後の最後ですべてが繋がったというオチでした。まさかニッシュの頭の中にお母さんがいるなんてね。

視聴者側には車の充電している間の暇つぶしとしてあのミュージアムに入ったように見えたニッシュ、実は事前に空調を故障させていたり、水に毒を加えていたりと殺す気満々。ラスト、キャリーの意識が入ったぬいぐるみまで持ち出して抜かりないなぁと思っていたら、ミュージアムごと燃やしてやるためでした。

ミュージアムの展示品の中には、「シロクマ」に出てきたハンターの衣装や「殺意の追跡」のハチ型ドローン、「アークエンジェル」のボロボロになったタブレットなんかもありました。2番目のキャリーの話の中では、キャリーの夫のジャックが「1500万メリット」のグラフィックノベルを読むシーンなんかも登場してます。

更にロロ・ヘインズがドーソン医師と出会った病院は「サン・ジュニペロ病院」、2番目の話の後クビになった会社というのが「タッカー社」でした。タッカー社の中のサン・ジュニペロというシステムかと思ったら、サン・ジュニペロは病院の名前だったことがここで発覚します。

サン・ジュニペロ病院の中でタッカー社の開発したシステムを使っているという認識が正しいのな?

ドーソン医師の話はシンプルに気持ち悪いなぁと思っただけでしたが、キャリーの話は切なかった。やはり人間は死する時に死なないといけないということかな…と思いつつ、ラストでニッシュと母親が上手に共存しているのを見て救われました。

最後に伏線を回収してのどんでん返しという構成は、やはりすっきりする。「里帰りにきた」「親がこの辺に住んでて」というニッシュの最初の言葉がラストにしっかり響いてくるのがいい。

ラストがとにかく痛快なので、すっきりしたい気分の時におすすめの作品です。

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