~ざっくり登場人物紹介~
クレイ:自殺したハンナに恋していた少年。酷い悪夢と幻覚に悩まされる。
アニ:クレイの元恋人。現在は良き友人に。
ジャスティン:運動部の人気者でジェシカの恋人。プロムの最中に突然倒れる。
ジェシカ:美人の元チアリーダーでジャスティンの恋人。
ウィンストン:ヒルクレスト高からの転入生。冤罪を着せられたモンゴメリーの真相を探る。
ディエゴ:アメフト部員。ウィンストンと共に真相を探るも、ジェシカに惹かれる。
以下、ネタバレ大いに含みますのでご注意ください。
13の理由 シーズン4 10話 「卒業」
兄弟
プロム中に倒れたジャスティンは、搬送後そのままICUへ。後にエイズを発症している事が発覚する。
彼が路上生活中に売春をしていたという事実を知り、言葉を失うジェンセン一家。段々と弱っていくジャスティンの姿に、クレイは心を痛める。
面会にやってくるジェシカ、アレックスとチャーリー。同じ病院で父親を看取ったザックは、病院前まで足を運ぶも中に入れず葛藤する。
ブライス殺しの犯人がジェシカであるとタイラーに問い詰めるウィンストン。タイラーからこの件を耳にしたアレックスはウィンストンを呼び出し、自分が犯人であることを告白する。
日に日に病状が悪化していくジャスティン。ついには人工呼吸器を外せない状況になり、もう回復することはないのだと悟ったクレイは、あまりのショックに病院を飛び出す。
一心不乱に走るクレイがたどり着いた先は警察署。パニック状態のクレイは警察署に入るなり、銃を所持していると叫ぶ。
クレイの状態を察知し、優しい言葉でなだめるディアス保安官。張り詰めていた糸が切れたように、クレイは保安官の肩で泣き崩れる。
落ち着いたクレイは保安官と話をし、彼がずっと自分を気にかけていてくれたことを知るのだった。
酒に逃げるザックを説得し、ジャスティンの面会に連れてやってくるアレックスとチャーリー。トニーはビデオ電話で父親に大学に進学するよう説得される。
ブライスの幻覚に”ジャスティンがこうなったのは君のせいでもある”と厳しい言葉を突きつけられるジェシカ。
殺伐とする日々のなか、クレイは無事ブラウン大に合格。さらに学長のファウンドリーから、卒業生代表としてスピーチを言い渡される。
アメフト部のコーチに呼び出され、自分と同じ道に進むよう説得されるザック。ファウンドリーに推薦状まで書いてくれていた彼に、ザックは感謝を伝える。
医師との相談の上、ジャスティンの呼吸器を外すという辛い決断を下したジェンセン一家。
最期を迎える彼に、泣きじゃくりながらも感謝の言葉を伝えるジェシカ。ジャスティンはそんな彼女に深い愛の言葉を遺す。
何度も救ってくれたことへの感謝と、これまで口にできなかった愛を伝えるクレイ。死が怖いと口にするジャスティンの手を、クレイはしっかりと握りしめる。
待合室にはアメフト部の仲間をはじめとした多くの生徒の姿が。やがてクレイと両親が見守るなか、ジャスティンは静かに息を引き取る。
葬儀
抜け殻のようにぽつりと座るクレイの隣に静かに寄り添うトニー。アニは悲しみに暮れるジェシカに、自分自身の強さを思い出させる。
葬儀が終わった後もジャスティンの棺の前から動けずにいるクレイ。ジェシカはその隣に腰を下ろし、2人は無言のまま寄り添い合う。
葬儀の後、モネに移動したアレックス、チャーリー、ザック、アニ。そこへウィンストンが現れ、アレックスを外へ連れ出す。
ブライスを殺した理由を問いただすウィンストン。アレックスはあの夜の真相、あれからずっと後悔の念に苛まれていることを告白する。
モンゴメリーを愛していたと語るウィンストン。しかしアレックスのことも愛し、その気持ちは未だ消えぬままだと明かす。
ブライスのテープを手渡し、真相を闇に葬ると誓ったウィンストンは、最後にハグをせがみ寂しげに暗闇の中へと消えてゆく。
それぞれのその後
大切にしていた父親の工場を売ったトニー。しかしその胸にはまだ大学進学への葛藤が残る。
夜の警察署で、互いに家族が1番大切だと語り合うディアス保安官とアレックスの父。ブライスの事件の捜査は打ち切ると告げるディアスに、アレックスの父は感謝の言葉を述べる。
共にHIVの検査を受けにやってきたジェシカとディエゴ。互いに陰性だった事に安堵したディエゴは、今までの事をジェシカに謝罪し、いつかまたデートに誘いたいと告げる。
自宅の玄関先に自分宛の小包が届いていることに気づいたクレイ。中を開けると、そこには懐かしいカセットテープが入っていた。
送り主はハンナの母オリヴィアで、裁判が終わり手元に戻ってきたテープを、クレイが持つべきだと判断し送ってきたのだった。
後日、カウンセリング中に秘めていた数々の怒りを爆発させるクレイ。カウンセラーはその怒りを受け止め、かつて彼もまたクレイのような問題児で、当時の高校教師に救われたと語るのだった。
卒業
そして迎えた、クレイら4年生の卒業式。生徒会長のジェシカは、スピーチで愛について語る。
卒業生代表のクレイはスピーチで亡くなった5人を追悼し、卒業を迎える全ての生徒に“何があろうと生き続けろ”という力強いメッセージを贈る。
式の後のパーティーで、幼い妹と再会を果たすトニー。ベイカー夫人がブライスの大学資金をハンズオフに寄付してくれることになったと、エステラに伝えるアニとジェシカ。
寂しげに佇むウィンストンに近づくライアン。音楽を学ぶことにしたと周囲に明かすザック。
育ててくれた両親に愛の言葉を伝えたクレイは、パーティーの後仲間と集まる。
クレイの視線の先には、アメフト部のジャケットを着て微笑むジャスティンとブライスの姿も。“人は酷いことをした相手を許すことができる”というジャスティンの言葉に、クレイはハンナを思い浮かべるのだった。
クレイは仲間を連れて自身が初めてカセットを聞いた場所へと移動し、そこへ穴を掘ってハンナのカセットテープを埋葬する。ふらりとその場を離れたジェシカは、1人でブライスの幻覚と対峙。
過去を乗り越えたジェシカは、愛しい仲間との絆はブライスがきっかけだったと認め、その言葉を聞いた彼は静かに立ち去っていく。
出発前の夜、クレイの目の前に再び現れたジャスティンの幻覚。クレイは促されるまま、彼が大学の願書に書いたエッセイを読む。
“プラスの影響を与えてくれてもの”と題されたそのエッセイには、クレイが自分をどん底から救い、家族を与えてくれたと感謝の気持ちが綴られていた。言葉を失うクレイに、“生き残れ”とジャスティンは言い遺す。
翌日、ジャスティンとの思い出の詰まった部屋を後にするクレイ。カウンセラーに別れの挨拶をし、両親に見送られるなか、クレイはトニーと共に、新たな人生の旅路へとつく。
感想
こんなラスト、誰か想像できる人いた?
シーズン1でハンナの最初の”理由”としてカセットに登場した彼が、まさかこんな最後を迎えるなんて。前話ラストで突然倒れてからのこの展開、頭の整理がつかない。
正直なところ、ジャスティンだけは殺さないで欲しかった。貧困から虐待、薬物…果てには売春まで、生まれながらずっと苦しみ続けてきた彼の結末がこうなってしまうと、何の救いも見いだせない。
彼の死がそれほどの意味を成すものだったなら、理解できたところもあったのかもしれないけど、特に何のメッセージ性も感じられず、ラストまでの繋ぎのために殺されたように感じるのが悲しい。
弱っていくブランドン・フリンの演技は、確かにリアルだったけど。シーズン1から見守ってきたキャラクターが病魔に侵され苦しんでいく過程を見るのは、やはり辛かった。
そしてジャスティンの死の直後、ディエゴがジェシカをデートに誘おうとするシーンもこれまた違和感。大切な人を亡くし、悲しみのどん底にいるはずの彼女に手を差しのべてくれる人がいること自体は救いなんだけど。
問題はジェシカが高校生の女子とは思えないほど強すぎて、ジャスティンを亡くしたことによる悲しみを感じとれないんだよね。だからディエゴに誘われた時も、満更ではない様子に見えてしまう。
真相を知ったウィンストンは、幻覚のモンゴメリーが言い遺した言葉に従うように、アレックスの人生を守ることを選んだ。もうチャーリーという相手がいるアレックスに「今も君を想ってる」と伝え、ハグした後顔を見せずに立ち去るシーンが切ない。
ウィンストンはどうしても悪いヤツには見えず、なんか中途半端で損な役回りだったけど彼のキャラクター自体は良かったし、彼の役を演じたDeaken Bluman(読み方がちょっとわからない…)のダークな色気がたまらなかった。おそらく主要キャストのようには名の知れていない様子の彼、またどこかで巡り会えたら嬉しい。
卒業式のシーンからは久々にコートニーとライアンも登場。シーズン2までは出ていたはずなのに、もはや懐かしい。
クロエに付き添っていたのはシーズン2のキーマンだったアメフト部のスコット?だった気がするけど、もしかしてクロエの恋人って彼なの?
タイラーとエステラは付き合ってる感じだったけど、だとしたら2人の関係性をもっと掘り下げてほしかったなぁ。
戻ってきたハンナのテープを全員で埋葬するというラストは良かった。ジェシカがブライスを許すシーンも。
美談というわけでなく、悲しく辛い記憶がジェシカの中で“愛しい仲間を得られたきっかけ”になれたことが本当に良かったと思う。善人になりたいと足掻きながら亡くなったブライスも、これで報われたんじゃなかろうか。
最後に、主人公のクレイ。私はずっと、陰気で理屈っぽくて、やたらと正義感の強い彼にずっと感情移入できずにいた。人に手を差し伸べても、別の問題があるからと放置したりして。
しかしそんなクレイが確かにジャスティンにとって救いとなっていたという事実には希望が持てる。不器用でも問題を抱えていても、例え上手くいかなかったとしても、人に手を差し伸べたいという気持ちにさせてくれた。
そしてジャスティンの幻覚が最後に言い遺した“生き残れ”こそ、このドラマが伝えたかったメッセージなのだと私は思う。
この”13の理由”というドラマ、途中挫折しかけた時期もあったけど最後まで見届けて、やはり良くも悪くもリアルで、人間らしさの溢れるドラマだったなと。そのリアルさゆえに自殺シーンがカットされたり等問題もあったけど、やはり私はこのドラマを見て良かったと思う。
SNSが普及しすぎたこの時代、道徳心でものを考えられず、法律で定められていないと善悪が判断できない、まるでロボットみたいな人間が多くなったなと、最近常々思う。だからこそ、より多くの人にこの作品を見て欲しい。シーズン1だけでもいいから。